裏・鷲谷ゼミ

某大学メディア学科。昔は「飲みゼミ」として与太を飛ばしていたが、最近のゼミ生は飲みに付き合ってくれないので、オンラインで管を巻くことにした。

文献リストを作る

先行研究調査の必要性

研究とは「巨人の肩に乗る」ものでなければならないと、先に述べた。

ここでいう「巨人」とは、「先行研究」のことである。

私たちの卒業研究が、研究として意味のあるものであるためには、先行研究を調べた上で、そこに新規性や独自性を加えなければならないのだ。

 

初歩・基礎から積み上げる

とはいえ、いきなり、新規性・独自性を加えることはできないのは明らかだ。初歩・基礎的なところから積み上げなければならない。

普段の講義のレポートであれば、教員から、読むべき課題図書が指定されるかもしれない。それは、書くべきレポートに呼応した適切な難易度になっているだろう。これに対して、自分が立てたテーマの場合は、自分自身の予備知識・理解力が適切に呼応しているかは、この段階では明らかではない。

入門書や概説書でテーマに関するイシューを把握した上で、専門書を読み、論文へと読み進むようにするのが、回り道に見えても、結局は一番の近道になる。

 

入門書・概説書の特徴

まず最初に読むべきは、入門書・概説書である。

入門書・概説書には、以下のような特徴がある。

  • タイトルに「〜入門」「〜の基礎」「○○歳からの〜」「一番やさしい〜」「初歩の〜」「〜ガイド」「図説〜」「教養としての〜」などの言葉が含まれている。
  • 図やチャートが豊富に掲載されている。
  • 著者の個人的な主張が控えめ、もしくは、含まれておらず、客観的・一般的な記述がされている。
  • 論拠・出典・参考文献などは、文中に逐一言及するのではなく、巻末にまとめて簡素に載っている。

入門書・概説書は、学術的な正確さを追求することよりも、一般の人の興味を引くこと、初学者の全容理解を助けることを目的としている。研究の手始めに、入門書・概説書を読むことによって、研究に対するモチベーションが上がるという効果もある。

 

入門書・概説書を探す

先の記事で紹介した「リサーチナビ」の検索結果から、ある程度、目星がついているはずだ。

さらに本を探すには、国立情報学研究所(NII)のWebcat Plusがお勧めだ。Googleのような普通の検索サイト、Amazonのような書店サイトとは異なり、文章から連想して検索するという機能を持っているので、ピンポイントの検索キーワードにアテがなくても、目的の本を探すことができる。

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Webcat Plus

たとえば「アニメの聖地巡礼」についての入門書を探すとして、「アニメの聖地巡礼はいつから始まったかがわかる入門書」と連想検索をしてみると以下のような検索結果が返ってくる。

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サンティアゴ(スペイン)への巡礼はアニメの聖地巡礼とは関係が薄そうなので、検索結果から取り除く。「スペイン」というキーワードを「含まない」設定にしてみる。

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逆に「アニメ」のキーワードは「含む」設定にする。

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こうした絞り込みを重ねることによって、目的の本に近づくことができるだろう。

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文献リストを作る

こうして、いくつかの本をリストアップしたら、読書記録サービスを使って、文献リストとして登録しておく。

以前、「読書はソーシャルに」という記事で、読書メーターブクログメディアマーカーなどのサービスを紹介したが、ここでは、「読書メーター」を推すことにする。ブクログはアプリがiPhone用しかなく、メディアマーカーは2019年1月でサービスが終了してしまうからである。

アカウント登録が終わったら、ゼミの同期・また私と共有をしてもらいたい。研究の進捗を可視化するためである。

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本日のToDo

国立国会図書館リサーチ・ナビを改めて確認する。

国立情報学研究所(NII)のWebcat Plusを使ってみる。

□入門書・概説書を探す。

読書メーターを使って文献リストを作成する。

□ゼミ内で文献リストを共有する。

 

webcatplus.nii.ac.jp

bookmeter.com

卒業研究のテーマを絞り込む

やりたいテーマが必ずしもできるわけではない

前回は、卒業研究でやりたいテーマを、発想を広げられるだけ広げて探した。

ここでいうテーマとは、言い換えれば「題材」のことであった。大学生活の集大成として、1年をかけて付き合う題材なのであるから、題材は、自分が好きなこと、やりたいことであることは、大前提である。

しかし、卒業研究は、自分が好き、やりたいという気持ちだけで、テーマを設定することはできない。なぜなら、卒業研究といえど、「研究」の一環でなければならないからだ。研究の一環とは、言い換えれば、すでに世の中に存在している研究と関連があるということである。逆に言えば、すでに世の中に存在している研究と無関係のテーマであっては、いかに自分がやりたいことであっても、卒業研究のテーマにはできないということだ。

 

巨人の肩に乗る

世の中に既に存在している研究を引き継いで、さらに新しい研究を加えることを、「巨人の肩に乗る」という。大学の卒業研究において、巨人の肩に乗る、一番手近な方法は、先輩が書いた卒業研究を見てみることだ。自分が所属している学部・学科、あるいはゼミの先輩が過去に書いた卒業研究のタイトル一覧を見てみよう。ゼミの指導教員に相談すれば、見せてもらえるはずだ。過去に卒業研究として成立しているのであれば、失敗しているにしろ、その批判や反省の上に、自分の研究を足せばよい。成功している卒業研究であれば、なおのこと、自分の研究をそこに足すべきだ。

 

調べ方を調べる

自分が所属している学部・学科、あるいはゼミの先輩が過去に書いた卒業研究のタイトル一覧が手に入らなかった場合や、あるいは、そのタイトル一覧に自分がやりたいテーマに近いものが乗っていなかった場合はどうすれば良いのだろうか。その場合、次にやるべきは、国会図書館のリサーチナビにアクセスし、自分のテーマについて果たして調べ方が存在しているかを調べてみることだ。リサーチナビとは、国会図書館の職員が、調べものに有用な図書館資料やデータベースなどをまとめたものである。検索窓に知りたい事柄に関するキーワードを入力すると、調べ方や関連書籍の情報を返し、また、関連キーワードの広がりを樹形図のように表示してくれる。

ここで「調べ方」の情報が帰ってくるテーマであれば、そのテーマは卒業研究としてやることは問題無い。逆に、「調べ方」の情報が「0件」であるテーマは、卒業研究としてやるには、多大な労苦が伴うものになることは明白である。テーマを再検討・変更すべきである。

 

サーチナビの事例

たとえば、「声優」というテーマでリサーチナビを検索してみよう。すると、「調べ方」の結果は16件だ。これなら、テーマとして設定することはできるだろう。出てきた参考資料を何冊か読み、自分なりの「仮説」を立てるプロセスに進むことができる。

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サーチナビで「声優」を検索した結果

次にたとえば、「金足農業」というテーマでリサーチナビを検索してみよう。すると、「調べ方」の結果は0件である。この場合、金足農業というテーマで卒業研究に挑もうとするのは、無謀だということになる。

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サーチナビで「金足農業」を検索した結果

この場合は、頁下に表示されているテーマの広がりの樹形図を見てみよう。「選抜高等学校野球大会出場校」や「日本の農業に関する学科設置高等学校」などのテーマが見えてくる。これらのキーワードをひとつひとつクリックして、「調べ方」の結果が十分な件数あるテーマを探してみよう。色々とクリックしてみても「調べ方」が十分に出てこないとか、自分が考えていたテーマから離れすぎていてあまり興味が湧かないとかだったら、すっぱり諦めて、改めて別のテーマをリサーチナビに入力してみることだ。

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テーマの広がり

本日のToDo

□所属している学部・学科・ゼミの過去の卒業研究のタイトル一覧を見てみる

□リサーチナビに前回検討した卒業研究のテーマを入力してみる

□世の中に既に存在している研究を引き継いで、さらに新しい研究を加えることが可能なものを自分の卒業研究のテーマにする

 

rnavi.ndl.go.jp

 

卒業論文のテーマを探す

テーマ設定とは何か

卒業論文において「テーマ」という語句は、「題材」「問い」「タイトル」など、いくつかの意味で幅広く用いられている。

もっとも狭いものを指す場合、卒業論文のテーマとは「タイトル」のこととなる。タイトルとして、自分のテーマを固定し、見合った内容のものを書きあげるのが卒業論文の最終的な完成形である。しかし、実情として、タイトルは曖昧なまま「仮題」として書き始め、書き終わった内容に合わせて最後に適切なタイトルを付けるということも行われている。タイトルは決定的ではあるが、狭義であるからと言って卒業論文の核心ではなく、最優先で検討されるべきものでもないのである。

もっとも広いものを指す場合は、卒業論文のテーマとは「題材」、別の言い方をすれば「分野」「ジャンル」「方向性」のこととなる。この題材としてのテーマ設定が最優先となる。ここが確定しなければ、卒業論文の核心である「問い」を適切に持つことができないからである。

したがって、卒業論文におけるテーマ設定とは、分野や方向性を定め、題材を選び出し、研究や調査をした上でその中に疑問や問題を見い出し、自らその問題を解決しようとすることと定義することができる。

 

テーマ設定で重要なこととは

卒業論文のテーマ設定で重要なことは「学術的」であるということだ。

卒業論文は、深く研究・調査して書くという点が、エッセイや感想文とは違う。エッセイや感想文は思ったままを書けば良い。そこでは学術性は問われない。

また、卒業論文は、自分で問題を設定して、その問題を解決するという点が、通常のレポートとは違う。通常のレポートは、先生が問題を出してくれる。学生は答えるだけだ。

問題を設定することを「問いを立てる」という言い方をすることもある。問いを立てるのは難しい。特に、学術的に意味のある問いを立てるのはなかなか至難の業である。

なぜなら、その問いが自明のことでは学術的に意味がないわけであるから、「ここまではすでにわかっていて、その先がわからない」という、ギリギリのところを知っていなければ、学術的に意味のある問いは立てられないからだ。先生が出すレポートが問題として成立しているのは「学生はここまで知識として持っているべきだ」「この講義の単位を出すためにはこのレベルまで理解していなければならない」という、勘所がわかっているからである。

したがって、卒業論文のテーマ設定においては、自分が学術的に意味がある問いを立てられるほど深く研究・調査しても苦にならないものを題材とすることが重要となる。

 

ゼミで協力しあってテーマを見つける

テーマを見つけるために、自分がこれまで大学で勉強してきたことを思い起こしてみよう。授業の中で現在学術的に意味があることについて教わっていなかっただろうか。あるいは、現時点で自分が関心を持っていて、この先、たくさんの本を読んでも苦にならない題材について考えよう。最近、ニュースでとりあげられていることや、社会問題について考えてみても良いだろう。

一人では簡単に行き詰まってしまうかもしれない。そんなときは、ゼミのみんなで協力しあってマインドマップ形式で思い起こしていこう。

順番にホワイトボードにキーワードを書いていく。そしたら、実現可能性などは斟酌せず、キーワードを他の人が書いたキーワードから枝分かれさせて書いていく。交代しながら、ホワイトボードでキーワードで一杯にしよう。

色々なことが思い起こされ、卒業研究のテーマについてのインスピレーションを得ることができるだろう。

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自分用のテーマを検討する

ゼミのみんなから刺激を受けて、頭が柔らかくなり、色々なことが思い起こせるようになったら、自分用のテーマを検討しよう。

紙に書いてもいいのだが、サイズの制限をうけずに細かくたくさん検討したり、書いた者を無くさずにいつでもどこでも追加削除するためには、デジタルの方が都合が良いだろう。

たとえば、mindmeisterは、Web版以外に、iOS版、Android版もあり、3枚までのマインドマップであれば無料で作成・共有できるのでこうした目的に叶うだろう。

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どんどん連想を広げて、キーワードを追記していこう。

ある程度キーワードが出たら、見直そう。抽象的なキーワードの下位レベルとして位置づけられないか、あるいは逆に、具体的なキーワードを更に追加できないか、デジタルで作成している良さを活かしながら、整理統合・発散分割していく。深掘りしたいテーマが見つかったら、必要に応じて、新しいマインドマップを作り直すのも良いだろう。

「これが自分が深く研究・調査したいテーマだ」と確信が持てるようになるまで、繰り返そう。

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今日のToDo

□ゼミのみんなで協力してキーワードを列挙してみる

□デジタルツールを使ってマインドマップを作る

□深く研究・調査したいテーマを確信が持てるまで探す

 

卒業論文の要件を確認する(3)

長期カレンダーを作成する

提出〆切日がわかって、ドラフト完成目標日や途中のマイルストーンを決めたら、それをカレンダーに書いておきたい。その際、一目でわかるように長期のカレンダーに書くようにしたい。

なぜなら、〆切までの残りの日数、今まで過ぎた日数などを直感的に理解できるようにしたいからだ。

たとえば、普通のカレンダーは月ごとに分かれている。スマホやPCのカレンダーも出来合いのものは、1年近くの長期を見渡せるものは、ほとんどない。

となれば、自分で長期カレンダーを作る必要があるだろう。

Googleスプレッドシートで作る。

長期カレンダーをGoogleスプレッドシートで作ることにしたい。

なぜなら、指導教員としてゼミ生全員とスケジュールを共有したいし、常に最新の状態に更新されたスケジュールを確認したいからだ。

Excelファイルでをメールでやりとりしたのでは、いくつものバージョンが並行に存在してしまうだろう。ゼミ生の共通理解も望めない。

以下に、Googleスプレッドシートで作る手順について詳しく述べたい。

作成準備

1.Googleドライブから、Googleスプレッドシートを新規作成

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2.ファイル名を付ける

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3.1行目に月と曜日のタイトルを入力する

B2セルに「月」と入力した後、右下の■をH1セルまでドラッグすると月〜日曜日が自動的に入力される。

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日にちの入力

1.B2セルに今月の第1月曜日の日にちを入力する

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2.B3セルに「=B2+7」と入力する。

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3.確定後、B2・B3セルをドラッグして選択する。

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4.B3セルの右下の■をH3セルまでドラッグすると、2週間分の日にちが自動的に入力される。

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5.B3セルからH3セルをドラッグして選択する。

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6.H3セルの右下の■をH70ぐらいまでドラッグすると、来年度末までの日にちが自動的に入力される。

 

7.B2セルからH70セル(最初から最後の日にちまで)を全て選択する。

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8.「表示形式ー数字ー表示形式の詳細設定ーその他の日付や時刻の形式」を選択する。

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9.カスタムの日付と時刻の形式パネルで、「月」と「日」の間の「-(半角マイナス)」の右側をクリックする。

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10.キーボードの「Backspace」を使って、「日」の形式指定だけを残して、削除する。

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11.日にちの表示を「先行ゼロ付き」にするか「なし」にするかを好みで選び、「適用」を押す。

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12.日にちだけのカレンダーが完成する。

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月の入力

1.A2セルに「=B2」と入力する。

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2.入力確定後、A2セルを選択し、「表示形式ー数字ー表示形式の詳細設定ーその他の日付や時刻の形式」を選択する。

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3.適当な形式を選択すると、カスタム形式欄に表示される。

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4.「先行ゼロなしの月」の形式のみを残す。

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5.適用で確定させる。

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6.A2セルの右下の■をA70(最後の行)までドラッグすると、すべての週の月が自動入力される。

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7.同じ月を結合する。

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表示の整理

1.A列からH列まで全体を選択する。

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2.H列の見出しにカーソルを合わせて現れる▽をクリックし、現れたメニューの中から「列A-Hのサイズを変更」を選択。

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3.現れたメニューで「データに合わせる」の項目を選択して「OK」を押す。

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4.列幅が変更される。

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5.色を付けるなどして、見やすさを整理した上で、提出〆切日やドラフト完成目標日や途中のマイルストーンを記入する。

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ステークホルダーと共有する

最後に、画面右上の「共有」ボタンを押し、作ったスケジュールを関係者と共有する。たとえば、他のゼミ生や指導教員など、一緒に卒業研究を進める仲間と共有しておくと良いだろう。こうした関係者をプロジェクトマネジメントの用語では「ステークホルダー(利害関係者)」という。プライバシーや編集権限は、適宜設定する。

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今日のToDo

□卒業研究用の長期カレンダーを作る。

□長期カレンダーに、提出〆切日、ドラフト完成目標日などを記入する。

ステークホルダーとカレンダーを共有する。

卒業論文の要件を確認する(2)

提出〆切日を確認し、大まかなスケジュールを決めよう

卒業論文の提出〆切日を確認しよう。もしかしたら、提出期間として、1〜2週間ぐらいの幅を持たせているかもしれない。日数が限られていると、受付窓口が混雑のため混乱する懸念があるし、病気や交通事情などで突発的に提出できない人が出る可能性もある…と受付側が気を回すからである。

実際、プリンタが壊れるかもしれない、用紙が切れるかもしれない、ファイルが忽然と消えるかもしれない、大きな間違いが見つかるかもしれない…すぐにリカバリーできないアクシデントが起こる可能性は決してゼロではないのである。

〆切日に完成させるような計画を立ててはいけない

 〆切日に完成させるのではなく、その前に余裕をもって完成させることが必須なのはわかる。では、どのぐらい前までに完成させなければならないのだろうか。それは、教員が指導しているゼミ生の人数によるが、およそ4週間〜1か月前である。

なぜなら、卒業論文というのは、指導教員のチェックを経て提出するものだからだ。普通のレポートは、提出したものを教員がチェックして採点・評価するが、卒業論文は教員がチェックして一定水準をクリアしていると評価されなければ提出ができないものだ。

学生が「完成している」と思っていても、指導教員の観点からは「完成にはほど遠い」と判断されることは、よくあることだ。自信を持って提出したレポートの点数が散々だったという経験を持つ人であれば、実感としてわかるだろう。

1万字以上の文章を読んで、その中身を斟酌し、形式の間違いを正すには、どんな教員でも2時間は掛かるだろう。教員に限らず仕事をしている社会人にとって、1日に集中して作業できる時間は、限られている。1日にきちんと指導できるのは1〜2人程度で、しかも1週間のうちに指導に充てられるのは2〜3日程度、となると、1週間で6人程度の文章を校閲するのが瀬一杯となる計算だ。もし、10数名のゼミ生がいて、それぞれが、自分では完成したと思っている文章を持ち込んで、2回程度、修正のやりとりをするとすれば、4週間程度前には、「ドラフト(草稿)」として、文章全体を完成させなければならない。

余裕を持った計画を立てよう

一般論としては、10数名程度のゼミ生がいるなら、4週間程度前にドラフトを完成させるべきだが、貴君の場合は、そこにさらに1〜2週間程度余裕を持たせるべきだ。

なぜなら、個別の事情をつぶさにみれば、そんな机上の計算通りにはいかないからだ。

もし、ほかのゼミ生を見渡して、いつも〆切に遅れてばかりいるような「グズなゼミ生」や、教員の指導していることをパッと理解できない「とろいゼミ生」がいるようであれば要注意だ。指導教員は最後の2週間はそのゼミ生の指導に掛かりきりになり、貴君を顧みてくれないだろう。賢明な貴君は、さらに1〜2週間の余裕をもってドラフトを完成させるべきである。

あるいは、自分の胸に手を当てて、自分がいつも〆切に遅れてばかりいるという自覚、これまでそんなに勉強していなかったという自覚があるなら、2回の指導では、一定水準に達しない可能性がある。3回、4回という指導が必要になるはずだ。そのための余裕をもって、ドラフトを完成させるべきである。

はたまた、指導教員のキャラクターと行動を観察してみよう。調子の良いことばかり言って、色んな仕事をあちこちから引き受けてパンクしているいい加減な教員(私のことである)なら、きちんと指導してくれない、あるいは、こっちが提出してもフィードバックがもらえるまでに時間が掛かるだろう。そのための余裕を持って、ドラフトを完成させた方が安全なのだ。

節目の日を確認しよう

提出〆切日、提出受付開始日(提出期間)、ドラフト完成目標日、といった節目の日を確認したら、そのほかの「節目の日」を決めよう。この節目の日のことをプロジェクトマネジメントの世界では「マイルストーン」という。わかりやすく言い換えれば「一里塚」である。

大学の決めたさまざまな〆切や行事、ゼミが決めた〆切や行事、自分で決める〆切や目標の日にちを明確にするのである。

たとえば、研究テーマ変更〆切日、中間発表日、ゼミ合宿(進捗状況を発表する)、研究計画発表日、研究テーマ登録〆切(登録期間)などがあるだろう。

その際は、同じく、余裕をもった計画を立てるように心がけよう。

 

今日のToDo

□提出〆切日・提出期間を確認する

□他のゼミ生や指導教員を観察して、ドラフト完成目標日を決める

□中間発表や、研究テーマ登録日などのマイルストーンを確認しよう

 

卒業論文の要件を確認する(1)

要件の確認を真っ先にやる

卒業論文を執筆・提出するにあたって、いつまでに、どのようなものが求められているのか確認しておきたい。つまり、何月何日(頃)に提出なのか、何文字なのか、用紙のサイズや、添付するものなどを、一番最初に確認するということだ。

なぜなら、ゴールに向かう最短距離がわからなければ、寄り道もできない。職業的な研究者ならいざしらず、大学生の卒業研究なのだから、気持ちの赴くままに研究をして、その成果のエッセンスをまとめて論文に仕上げる…ということはできないからだ(いや、職業的な研究者もそのようなことはできないが)。

書いてみたはいいが、提出のための条件に合わず、やりなおし…その結果、期限に間に合わない…ということになっては、目も当てられないだろう。

提出物と書式の確認

某大学における今年度卒業予定の年次を対象にした資料から抜粋すると、卒業研究の提出物および書式は、以下の画像のようになっていた。ポイントになる点をメモしておこう。

  • 本文1万2000字以上
  • A4用紙
  • 綴じファイル使用
  • 規定の表紙
  • 概要800字以上

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こうした規定は、年度毎に大きく変わることは少ないだろう。3年生が卒業研究の準備を始める時も、前年度の規定を参考にして良いと思われる。ただし、学部改組などにより、新設学部の1期生となっている方は最新の情報に留意する必要がある。新しいアカデミックポリシー・ディプロマポリシーにより、見直される場合があるからだ。

 

ToDo

□現行の卒業論文の提出物・書式を確認する

□ポイントになる点をメモしておく

卒業研究に向けて

作業を細かく分割する

大学卒業資格、いわゆる「学士」を取るのに、最後に控えているのが卒業研究である。制作物をもって代替したりする場合もあるが、ここでは、卒業論文に限定して述べる。卒業論文の書き方は、方法論として、一定のパターンが確立しているからである。そして、その手順を細かく分け、順序よく対応すれば、難しいことではない。「○万字書くこと」「〆切厳守。1秒でも遅れたら留年」などと、聞いてしまうと、さも恐ろしく、大変なことであるかのようなイメージを抱いてしまうが、作業内容を細かく分割して見れば、何も難しくない、むしろ簡単なことであるように思えてくるはずだ。

専門分野や指導教員によって、卒業論文の執筆手順は、まちまちだろう。私の場合は、以下のような手順に分けて進めることを提唱する。一週間に1~2時間作業することを想定した

週次での作業計画

    1. 要件把握(文字数、〆切などの確認)
    2. テーマ検討(何について書くか)
    3. テーマの絞り込み(既存の研究の一環となるテーマを選ぶ)
    4. ブックリストを作る(概説書・入門書を読む)
    5. 図書館を利用する(OPACを使う)
    6. 問題設定(問いを立てる)
    7. 先行研究の調査(論文・専門書を探す)
    8. 仮説設定(主張〔Claim〕を決める)
    9. 論拠設定(論拠〔Warrant〕を決める)
    10. 実証可能性の検討(立証材〔Evidence〕のアタリを付ける)
    11. 研究計画書の作成(タイトルを決め、ペラ紙一枚にまとめる)
    12. プレゼンテーション(内容を批判的に検証してもらう)
    13. アウトラインの検討(全体で、何が・どんなだ・その理由となるように構成を考える)
    14. MS Wordの操作に熟達する
      • オプション設定
      • スタイル書式
      • アウトライン表示
      • 箇条書き・段落番号
      • 脚注
      • セクション区切り
      • 目次
    15. 調査統計(最低限必要な統計リテラシーをマスターする)
      • 定量調査・定性調査
      • アンケート
      • Googleフォーム
      • エクセル関数
      • クロス集計
    16. パラグラフライティング(構造的に節を書く)
      • サインポスト
      • トピックセンテンス
      • サポートィングセンテンス
      • コンクルーディングセンテンス
    17. 引用方法(適切な形式で引用する)
      • 短い引用
      • 長い引用
      • 間接引用
    18. 図表
    19. 執筆作業(スケジュール通りに書く)
    20. 校正作業(校正必携を参考にする)
    21. 提出準備(チェックリストに基づいて漏れや抜けがないようにする)
    22. 口頭諮問準備(論文を読んだ教員からの質問に答えられるようにする)

これから

実際のゼミの進捗に併せて、少しずつ、各項目を詳しく書いていこうと思う。

場合によっては、項目の追加削除や、順序の入れ替えもあるかもしれない。

ともあれ、一人でも多くのゼミ生が、スムーズに卒業研究を終えることを願っている。

ToDo

□卒業研究に対して、腹を括って、前向きな気持ちになる

□先送りにしないで、少しずつ作業する