裏・鷲谷ゼミ

某大学メディア学科。昔は「飲みゼミ」として与太を飛ばしていたが、最近のゼミ生は飲みに付き合ってくれないので、オンラインで管を巻くことにした。

卒業研究のテーマを絞り込む

やりたいテーマが必ずしもできるわけではない

前回は、卒業研究でやりたいテーマを、発想を広げられるだけ広げて探した。

ここでいうテーマとは、言い換えれば「題材」のことであった。大学生活の集大成として、1年をかけて付き合う題材なのであるから、題材は、自分が好きなこと、やりたいことであることは、大前提である。

しかし、卒業研究は、自分が好き、やりたいという気持ちだけで、テーマを設定することはできない。なぜなら、卒業研究といえど、「研究」の一環でなければならないからだ。研究の一環とは、言い換えれば、すでに世の中に存在している研究と関連があるということである。逆に言えば、すでに世の中に存在している研究と無関係のテーマであっては、いかに自分がやりたいことであっても、卒業研究のテーマにはできないということだ。

 

巨人の肩に乗る

世の中に既に存在している研究を引き継いで、さらに新しい研究を加えることを、「巨人の肩に乗る」という。大学の卒業研究において、巨人の肩に乗る、一番手近な方法は、先輩が書いた卒業研究を見てみることだ。自分が所属している学部・学科、あるいはゼミの先輩が過去に書いた卒業研究のタイトル一覧を見てみよう。ゼミの指導教員に相談すれば、見せてもらえるはずだ。過去に卒業研究として成立しているのであれば、失敗しているにしろ、その批判や反省の上に、自分の研究を足せばよい。成功している卒業研究であれば、なおのこと、自分の研究をそこに足すべきだ。

 

調べ方を調べる

自分が所属している学部・学科、あるいはゼミの先輩が過去に書いた卒業研究のタイトル一覧が手に入らなかった場合や、あるいは、そのタイトル一覧に自分がやりたいテーマに近いものが乗っていなかった場合はどうすれば良いのだろうか。その場合、次にやるべきは、国会図書館のリサーチナビにアクセスし、自分のテーマについて果たして調べ方が存在しているかを調べてみることだ。リサーチナビとは、国会図書館の職員が、調べものに有用な図書館資料やデータベースなどをまとめたものである。検索窓に知りたい事柄に関するキーワードを入力すると、調べ方や関連書籍の情報を返し、また、関連キーワードの広がりを樹形図のように表示してくれる。

ここで「調べ方」の情報が帰ってくるテーマであれば、そのテーマは卒業研究としてやることは問題無い。逆に、「調べ方」の情報が「0件」であるテーマは、卒業研究としてやるには、多大な労苦が伴うものになることは明白である。テーマを再検討・変更すべきである。

 

サーチナビの事例

たとえば、「声優」というテーマでリサーチナビを検索してみよう。すると、「調べ方」の結果は16件だ。これなら、テーマとして設定することはできるだろう。出てきた参考資料を何冊か読み、自分なりの「仮説」を立てるプロセスに進むことができる。

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サーチナビで「声優」を検索した結果

次にたとえば、「金足農業」というテーマでリサーチナビを検索してみよう。すると、「調べ方」の結果は0件である。この場合、金足農業というテーマで卒業研究に挑もうとするのは、無謀だということになる。

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サーチナビで「金足農業」を検索した結果

この場合は、頁下に表示されているテーマの広がりの樹形図を見てみよう。「選抜高等学校野球大会出場校」や「日本の農業に関する学科設置高等学校」などのテーマが見えてくる。これらのキーワードをひとつひとつクリックして、「調べ方」の結果が十分な件数あるテーマを探してみよう。色々とクリックしてみても「調べ方」が十分に出てこないとか、自分が考えていたテーマから離れすぎていてあまり興味が湧かないとかだったら、すっぱり諦めて、改めて別のテーマをリサーチナビに入力してみることだ。

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テーマの広がり

本日のToDo

□所属している学部・学科・ゼミの過去の卒業研究のタイトル一覧を見てみる

□リサーチナビに前回検討した卒業研究のテーマを入力してみる

□世の中に既に存在している研究を引き継いで、さらに新しい研究を加えることが可能なものを自分の卒業研究のテーマにする

 

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