文献リストを作る
先行研究調査の必要性
研究とは「巨人の肩に乗る」ものでなければならないと、先に述べた。
ここでいう「巨人」とは、「先行研究」のことである。
私たちの卒業研究が、研究として意味のあるものであるためには、先行研究を調べた上で、そこに新規性や独自性を加えなければならないのだ。
初歩・基礎から積み上げる
とはいえ、いきなり、新規性・独自性を加えることはできないのは明らかだ。初歩・基礎的なところから積み上げなければならない。
普段の講義のレポートであれば、教員から、読むべき課題図書が指定されるかもしれない。それは、書くべきレポートに呼応した適切な難易度になっているだろう。これに対して、自分が立てたテーマの場合は、自分自身の予備知識・理解力が適切に呼応しているかは、この段階では明らかではない。
入門書や概説書でテーマに関するイシューを把握した上で、専門書を読み、論文へと読み進むようにするのが、回り道に見えても、結局は一番の近道になる。
入門書・概説書の特徴
まず最初に読むべきは、入門書・概説書である。
入門書・概説書には、以下のような特徴がある。
- タイトルに「〜入門」「〜の基礎」「○○歳からの〜」「一番やさしい〜」「初歩の〜」「〜ガイド」「図説〜」「教養としての〜」などの言葉が含まれている。
- 図やチャートが豊富に掲載されている。
- 著者の個人的な主張が控えめ、もしくは、含まれておらず、客観的・一般的な記述がされている。
- 論拠・出典・参考文献などは、文中に逐一言及するのではなく、巻末にまとめて簡素に載っている。
入門書・概説書は、学術的な正確さを追求することよりも、一般の人の興味を引くこと、初学者の全容理解を助けることを目的としている。研究の手始めに、入門書・概説書を読むことによって、研究に対するモチベーションが上がるという効果もある。
入門書・概説書を探す
先の記事で紹介した「リサーチナビ」の検索結果から、ある程度、目星がついているはずだ。
さらに本を探すには、国立情報学研究所(NII)のWebcat Plusがお勧めだ。Googleのような普通の検索サイト、Amazonのような書店サイトとは異なり、文章から連想して検索するという機能を持っているので、ピンポイントの検索キーワードにアテがなくても、目的の本を探すことができる。
たとえば「アニメの聖地巡礼」についての入門書を探すとして、「アニメの聖地巡礼はいつから始まったかがわかる入門書」と連想検索をしてみると以下のような検索結果が返ってくる。
サンティアゴ(スペイン)への巡礼はアニメの聖地巡礼とは関係が薄そうなので、検索結果から取り除く。「スペイン」というキーワードを「含まない」設定にしてみる。
逆に「アニメ」のキーワードは「含む」設定にする。
こうした絞り込みを重ねることによって、目的の本に近づくことができるだろう。
文献リストを作る
こうして、いくつかの本をリストアップしたら、読書記録サービスを使って、文献リストとして登録しておく。
以前、「読書はソーシャルに」という記事で、読書メーター、ブクログ、メディアマーカーなどのサービスを紹介したが、ここでは、「読書メーター」を推すことにする。ブクログはアプリがiPhone用しかなく、メディアマーカーは2019年1月でサービスが終了してしまうからである。
アカウント登録が終わったら、ゼミの同期・また私と共有をしてもらいたい。研究の進捗を可視化するためである。
本日のToDo
□国立情報学研究所(NII)のWebcat Plusを使ってみる。
□入門書・概説書を探す。
□読書メーターを使って文献リストを作成する。
□ゼミ内で文献リストを共有する。