裏・鷲谷ゼミ

某大学メディア学科。昔は「飲みゼミ」として与太を飛ばしていたが、最近のゼミ生は飲みに付き合ってくれないので、オンラインで管を巻くことにした。

先行研究を探す

どこまでがすでにわかっていることなのか調べる

ぼんやりとした関心を、研究に値するテーマとして落とし込むところまでを、ここまではやってきた。

繰り返しになるが、みんながわかっている、言っていることをまとめただけでは「研究」にはならない。みんなが知らないこと、やってみたり調べたりして初めてわかった「新規のこと」「独自のこと」でなければ「研究」とは言えないのである。

つまり、「A(物事)とは何か?」「Aは本当にB(事実)なのか?」「AがBなのはCだから(理由)か?」という問いを立てたら、その問いに対する答えが、すでに判明済みではないか、わかりきっていることでないかを確認しなければならない。

その確認作業が「先行研究」を探すということである。

こうした確認をするだけでは研究ではないが、この確認をおこなった上で問いの答えを探すのでなければ研究にはならない。労を惜しまずやるべきだ。

先行研究を探す手がかり

先行研究を探すには、大きく2つの方法がある。

1つは、書籍や論文の参考文献を手がかりにする方法、もう1つは、サイトで検索する方法である。

参考文献をあたる

ここまでに、入門書や概説書の乱読を行い、文献リストを作ってきたはずだ。また、文献リストのいくつかは、興味深いものであるはずだ。もう一度、文献リストを振り返り、これぞという本を手元に置いておくようにしよう。「これぞという本」とは、執筆動機に影響を与えた本、自分の意見を立脚する基礎となる本のことだ。こうした本は、これから、何度も読み返したり、引用したりすることになる。そのため、すぐに使えるような状態にしておくことが大事なのである。

手元に置くのは、買うのが一番良い。折ったり切ったり、線を引いたり、書き込みをしたり、つまり自由勝手に使うことができるからだ。しかし、そうも言っていられないだろう。「軍資金」は限られている。コピーを取るのでもかまわないし、スマホで写真を撮ってpdf化しておくのでもかまわない。ただし、その際に、絶対にやっておかなければいけないことがある。それは「奥付」を控えておくということだ。「奥付」とは、書籍の一番最後(もしくはその直前)に置かれている、著者名、書名、発行日、発行所、発行者などが書かれている部分である。本の出生届、戸籍謄本のようなものだ。あとで、論文を書く際に、この奥付の情報を元に、自分の論文の引用の出所や、参考文献一覧を作成することになる。後回しにせず、必ず、控えておくように。

さて、手元に置いた本のいくつかには、参考文献一覧が載っているはずだ。参考文献一覧に載っている本とは、著者がその本を書く際に参考にした本である。いわば、料理の原材料表、プラモデルのパーツリストのようなものだ。新しい研究をする、論文を書くというのは、料理やプラモデルのカスタムに似ている。同じ材料、パーツを揃え、そこに新しい材料やパーツを加えるような形である。これらの参考文献を、自分の文献リストに加えておこう。

参考文献に載っている本を入手して、さらにその参考文献を見る。そうすると、共通して挙げられている本や論文があるはずだ。それは、きっとその分野で、影響力があった、大事な文献なのだろうというアタリがつく。次に入手すべきは、その文献である。参考文献を芋づる式にあたるのは、効率が良い方法だということができる。文献が手元にない状態、文献を読む前に、その重要性や入手の優先度がわかるからだ。

 

サイトで検索する

サイトで先行研究を検索する方法として、大きく4つ挙げる。すなわち、Google Scholar [グーグル・スカラー]、J-Stage [ジェイ・ステージ]、CiNii [サイニイ]、Researchmap [リサーチマップ]の4つである。

先行研究を検索する場合は、通常のようにGoogleYahoo!などを使うべきではない。研究・研究者の検索に特化した、これらのサイトを使うべきである。通常の検索よりも、よりスムーズに目的の情報にたどり着くことができるからだ。

ただし、こうした検索だけに頼ってはいけない。ネットに挙がっていない情報はまだまだ多いからだ。オープンアクセス化、すなわち、学術情報・査読付き論文に誰もが無料でアクセスできるようにしようとする試みは進められてはいるが、まだまだ、完全ではない。検索でたどり着ける、得られる情報には限りがある。実際、検索してみれば、こちらの方法では出てくる情報が、こちらでは出てこないということが、頻繁に起こりうる。

Google Scholar

Google Scholarは、以下のURLである。

https://scholar.google.com/

Google Scholarで検索をすると、以下のような結果が表示される。学術情報や論文が表示されていることがわかる。

自分自身の研究のキーワードで検索をして試してほしい。併せて、左のカラムの一番下の「アラートを作成」をクリックして、登録しておこう。

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Google Scholarで「聖地巡礼」を検索した結果

これに対して、通常のGoogleで検索した結果が、以下のものである。

キーワードの網羅的な理解には役立つかもしれないが、論文を書くという目的には適さない。ここから必要な情報を探すには多くの手間がかかるだろう。

例年、論文を書き始める際に、語句の定義づけをこのGoogleの検索結果や辞書に依拠する学生が、後を絶たない。これは、止めてほしい。先行研究調査の浅さを露呈しているだけで、きわめて恥ずかしい。

通常レポートで、やかましく言われたせいか、Wikipediaに依拠する学生は減ったが、それでも、まだ、Google Scholarをきちんと活用している学生は少ないのが残念である。

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Google で「聖地巡礼」を検索した結果
 J-StageとCiNii

J-StageとCiNiiのURLは、それぞれ以下のとおりである。

https://www.jstage.jst.go.jp/

https://ci.nii.ac.jp/

両方とも、日本の学術論文を公開し、そのPDFを読むことができるという機能は同じであるが、運営元や成立経緯などが異なるため、収載されている情報は異なる。

同じキーワードを入力して検索してみると、違う結果が出力されること、検索結果の数に違いがあることがわかる。どちらのサイトも一長一短があるため、両方を検索してみることが大切である。併せて、「サインイン」「ログイン」のリンクから先に進み、アカウントを作成しておくことを勧める。検索条件や検索結果を保存しておくことができるからである。

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J-Stageで「聖地巡礼」を検索した結果

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CiNiiで「聖地巡礼」を検索した結果

 Researchmap

ResearchmapのURLは、以下のとおりである。

https://researchmap.jp/

Researchmapは、研究者が自身の業績を公開するためのサイトである。どのような学会に所属し、論文を書いているのか、書籍を出版しているのかなどが確認できる。

それぞれの研究者によって、入力に対する熱意・割いている労力は異なるが、徐々に活用が普及・浸透している状況といえるだろう。

参考文献を調べたり、Google ScholarJ-Stage、CiNiiで検索したりした結果、知りえた研究者の名前をResearchmapに入力してみよう。その研究者がほかにどんな研究をしているのかを知ることができる。

また、Researchmapでは、「研究分野」をたどっていくことによって、似たような研究を行っている研究者を見つけることができる。そこから研究テーマの新しい諸相を知ることもできるだろう。

連絡先を公開している研究者にアドバイスを求めることも悪いことではない。しかし、自分のゼミの指導教員に相談する感覚で「~について教えてください」「~の資料をください」「~についてどう思いますか」といった類のあまりに初歩的な質問はしてはいけない。指導を受けている立場ではない学外の(学内もだが)研究者と、みなさんは、同じ研究者として対等の立場、同じ土俵に乗る者なのだ。調べられるものについては自分で調べなければならない。「便利屋」として使ってしまうことは甚だ失礼にあたるということを自覚すべきだ。ピント外れの相談は、多くの場合は無視されるだろうが、時として、激烈に批判・拒絶される可能性がある。その時、その批判の矛先、マイナス感情のレッテル貼りは、指導教員や所属している大学にも向けられるだろう。そうならないためにも、まずは、卒業研究の指導教員にきちんと相談することである。

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Researchmapのトップ画面

本日のToDo

□これまでの文献リストを振り返り、これぞという本を手元に置く

Google ScholarJ-Stage、CiNii、Researchmapをブックマークする

J-Stage、CiNiiのアカウントを作成する

□自分が関心を持っているテーマの研究者の広がりを把握する

問いを立てる

関心を研究に値するテーマとして落とし込む

自分が関心があるテーマについて、入門書、概説書を乱読していると、大体の勘所がわかってくる。次のステップは、その関心を研究に値するテーマとして落とし込むことである。

そもそも「研究」とはなんだろう? みんながわかっている、言っていることをまとめただけでは「研究」にはならない。みんなが知らないこと、やってみたり調べたりして初めてわかったことでなければ、「研究」とは言えない。それは、偉いセンセイがやる研究だけの話ではなく、初めて論文を書く学生のものであっても、同じである。「新規性」「独自性」があるもの、それが、研究に値するテーマとなる。

 

論文は論理的でなければならない

研究を、最終的に論文の形でまとめるのがゴールである。論文は、「論理的」でなければならない。

論理的な主張の形は多種多様だが、もっともシンプルな形としては、「三段論法」がある。つまり「A=B ∵C(AはBである。なぜならばCだから)」の形である。

ここから、新規性・独自性がある研究テーマを導き出す例を3つ、以下に述べる。

 

「A=B∵C」の「A」に着目し「Aとは何か?」をテーマにする

みんなが知らないであろう「対象物」について、論文にするものである。

たとえば、「東京湾上の島に新種の蟹を発見・捕獲した」というようなケースである。その蟹については、誰も知らないわけであるから、その形状や習性などの観察内容には新規性・独自性がある。「東京湾新蟹とは何か?」というようなテーマは、論文として相応しい。

逆に、既に図鑑に載っているようなありふれた生き物の紹介は、小学生の夏休みの自由研究としては許容はされても、大学生の論文にはふさわしくない。まして、参考文献をそのまま引き写すような内容であっては、ならない。

 

「A=B∵C」の「A=B」に着目し、「Aは本当にBか?」をテーマにする

みんなが常識として疑わないであろう「コモンセンス」あるいは広く知れ渡っている「公知の事実」について、論文にするものである。

たとえば、(高校生が)「三角形の内角の和は本当に180度なのか」「仏教伝来は本当に538年なのか」というような言説に疑いを持つようなケースである。もちろん、大学生ともなれば、球面上の三角形の内角の和は180度にならないこと、『日本書紀』や『元興寺縁起』など別の資料に基づけば別の年になることは、知っているであろう。

さまざまな資料を読み、現時点でのコモンセンス・公知の事実を調べた上で「巨人の肩に乗る」の精神で、「今現在〜と言われているが、本当かどうか検証する」というようなテーマは、論文として成立しうる。

この応用で、もう少し大学生にとって実現可能性の高いテーマ設定の方法がある。たとえば、「○年前の調査では〜と言われていたが、今現在、最新の状況を調査してみる」「女子大学生を対象にした調査では〜という結果になっていたが、男子大学を対象に改めて調査をしてみる」などのように条件を変えて「Aは本当にBか」検証する方法である。これでも十分に新規性・独自性があると言える。

 

「A=B∵C」の「∵C」に着目し、「なぜAはBなのか?」をテーマにする

 不確かな事実や新しい現象、が成り立ちうる「条件」や「理由」について、論文にするものである。

たとえば、「なぜ地方都市の女子高生においてK-Pop人気は一層高いのか」や「なぜ夏の甲子園が中止になった年に高校生投手の投球スピードは上がったのか」というようなケースである。

興味深い事実や現象を見つけ、その条件や理由に「目星」が付けられて、「実証」可能であれば、新規性・独自性については申し分ない。

 

自ら問いかけて研究に値するテーマを決める

以下の問いを自分に問い、ここまで、マインドマップで広げ、さまざまな本を乱読して基礎知識を付けてきた「関心」を研究に値するテーマとして落とし込めないか、考えてみて欲しい。いずれも考えつかないようであれば、改めて、マインドマップと乱読に戻る必要がある。

  • 自分だけが知っていて、他の人が知らない「物事(A)」はないか?
  • 本当かどうか自分で検証できそうな「事実(A=B)」はないか?
  • 不確かで興味深い事実について「理由(∵C)」の目星がつかないか?

本日のToDo

□新規性・独自性が研究に必要であることを理解する

□論文は論理的でなければならないことを確認する

□三段論法について復習する

□研究テーマを導き出す切り口を確認する

□研究テーマを決める

図書館を利用する

研究の手始めは乱読

いきなり「研究」はできない。まずは研究する価値のあることを見つけなければならない。卒業研究をしよう、自分が関心があるのはこれだ…と思っても、それがそのまま研究する価値があるものとは限らないからだ。自宅の庭先を掘って石油が出るとは限らないのと同じことである。ここまでに作っておいた参考文献リストを片っ端から読むことから始めよう。ナナメ読みで構わない。いや、目次にどんなことが書いてあるかの確認でも十分である。とにかく、その分野全体のことをぼんやりと掴み、どんなことに問題意識がおかれているのかを把握するということが一番最初の取っ掛かりになるということだ。

 

買う前にまずは図書館

研究のために、好きな本を好きなだけ買うことを否定するものではないが、本については図書館で内容をまずは確認すべきである。お金は大事に使うべきだからだ。入門書・概説書であれば、地域の図書館、大学の図書館にある程度は揃っているはずだ。

もし、大学の図書館にこれまで行っていなかったのであれば、この機会に行ってみよう。参考文献リストに加えた本が、どこの本棚にあるか探すと、その近くに興味をそそられる本が、また、あるかもしれない。その場合は、どんどん参考文献リストを増やしていくようにしよう。

地域の図書館は、もしかしたら、受験勉強や時間つぶしでしか使ってこなかったかもしれない。そうであれば、この機会に登録し「貸出券」を作ってもらいたい。大概の図書館は、在住在勤者を対象に資料の貸し出しを行っている。つまり住んでいる場所、働いて(学んで)いる場所のそばの図書館の資料は、借りることができるということである。身分証明書となる学生証があれば、ものの10分あまりで貸出券は作成できる。

 

図書館の蔵書をオンラインで調べる。

地域の図書館、大学の図書館は、蔵書検索のシステムをネットで提供している。このオンラインの蔵書目録をOPAC [オパック: Online Public Access Catalog] という。

使い方は簡単だ。自宅の最寄り、もしくは、通学途中の地域の図書館のサイトにアクセスすれば、目立つところに「資料を探す」という検索窓があるはずである。

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新宿区立図書館

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さいたま市図書館

大学図書館にも蔵書検索システムがある。併せて確認したい。

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大学図書館の蔵書検索システム

複数の図書館を一気に調べる

大学の側の図書館、乗換駅の側の図書館、地元の図書館など、行動範囲の中に複数の図書館がある場合、個別にひとつひとつ入力して調べていくのは手間だと感じられるかもしれない。その場合は、カーリルというWebサービスを利用するのがお勧めだ。市町村、大学などをあわせて10件までの図書館で、蔵書があるか、借りることが可能かを一気に検索することができる。

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カーリル

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蔵書の有無、貸出の可否

参考文献リストの本が図書館にあるか確認し、もし、所蔵されているようだったら、予約をしよう。

人気がある本の場合、何十人待ちにもなっている場合がある。余裕をもって、検索、予約をするようにしたい。卒業研究は端緒についたばかりである。

 

本日のToDo

□大学の図書館に行ってみる

□参考文献リストの本を増やす

□地域の図書館に行き、必要に応じて貸出券を作る

OPACを使って蔵書を調べる

□カーリルを使ってみる

□参考文献リストの入門書・概説書を予約・借りる

□ざっくりと入門書・概説書を読んでみる

 

calil.jp

 

文献リストを作る

先行研究調査の必要性

研究とは「巨人の肩に乗る」ものでなければならないと、先に述べた。

ここでいう「巨人」とは、「先行研究」のことである。

私たちの卒業研究が、研究として意味のあるものであるためには、先行研究を調べた上で、そこに新規性や独自性を加えなければならないのだ。

 

初歩・基礎から積み上げる

とはいえ、いきなり、新規性・独自性を加えることはできないのは明らかだ。初歩・基礎的なところから積み上げなければならない。

普段の講義のレポートであれば、教員から、読むべき課題図書が指定されるかもしれない。それは、書くべきレポートに呼応した適切な難易度になっているだろう。これに対して、自分が立てたテーマの場合は、自分自身の予備知識・理解力が適切に呼応しているかは、この段階では明らかではない。

入門書や概説書でテーマに関するイシューを把握した上で、専門書を読み、論文へと読み進むようにするのが、回り道に見えても、結局は一番の近道になる。

 

入門書・概説書の特徴

まず最初に読むべきは、入門書・概説書である。

入門書・概説書には、以下のような特徴がある。

  • タイトルに「〜入門」「〜の基礎」「○○歳からの〜」「一番やさしい〜」「初歩の〜」「〜ガイド」「図説〜」「教養としての〜」などの言葉が含まれている。
  • 図やチャートが豊富に掲載されている。
  • 著者の個人的な主張が控えめ、もしくは、含まれておらず、客観的・一般的な記述がされている。
  • 論拠・出典・参考文献などは、文中に逐一言及するのではなく、巻末にまとめて簡素に載っている。

入門書・概説書は、学術的な正確さを追求することよりも、一般の人の興味を引くこと、初学者の全容理解を助けることを目的としている。研究の手始めに、入門書・概説書を読むことによって、研究に対するモチベーションが上がるという効果もある。

 

入門書・概説書を探す

先の記事で紹介した「リサーチナビ」の検索結果から、ある程度、目星がついているはずだ。

さらに本を探すには、国立情報学研究所(NII)のWebcat Plusがお勧めだ。Googleのような普通の検索サイト、Amazonのような書店サイトとは異なり、文章から連想して検索するという機能を持っているので、ピンポイントの検索キーワードにアテがなくても、目的の本を探すことができる。

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Webcat Plus

たとえば「アニメの聖地巡礼」についての入門書を探すとして、「アニメの聖地巡礼はいつから始まったかがわかる入門書」と連想検索をしてみると以下のような検索結果が返ってくる。

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サンティアゴ(スペイン)への巡礼はアニメの聖地巡礼とは関係が薄そうなので、検索結果から取り除く。「スペイン」というキーワードを「含まない」設定にしてみる。

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逆に「アニメ」のキーワードは「含む」設定にする。

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こうした絞り込みを重ねることによって、目的の本に近づくことができるだろう。

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文献リストを作る

こうして、いくつかの本をリストアップしたら、読書記録サービスを使って、文献リストとして登録しておく。

以前、「読書はソーシャルに」という記事で、読書メーターブクログメディアマーカーなどのサービスを紹介したが、ここでは、「読書メーター」を推すことにする。ブクログはアプリがiPhone用しかなく、メディアマーカーは2019年1月でサービスが終了してしまうからである。

アカウント登録が終わったら、ゼミの同期・また私と共有をしてもらいたい。研究の進捗を可視化するためである。

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本日のToDo

国立国会図書館リサーチ・ナビを改めて確認する。

国立情報学研究所(NII)のWebcat Plusを使ってみる。

□入門書・概説書を探す。

読書メーターを使って文献リストを作成する。

□ゼミ内で文献リストを共有する。

 

webcatplus.nii.ac.jp

bookmeter.com

卒業研究のテーマを絞り込む

やりたいテーマが必ずしもできるわけではない

前回は、卒業研究でやりたいテーマを、発想を広げられるだけ広げて探した。

ここでいうテーマとは、言い換えれば「題材」のことであった。大学生活の集大成として、1年をかけて付き合う題材なのであるから、題材は、自分が好きなこと、やりたいことであることは、大前提である。

しかし、卒業研究は、自分が好き、やりたいという気持ちだけで、テーマを設定することはできない。なぜなら、卒業研究といえど、「研究」の一環でなければならないからだ。研究の一環とは、言い換えれば、すでに世の中に存在している研究と関連があるということである。逆に言えば、すでに世の中に存在している研究と無関係のテーマであっては、いかに自分がやりたいことであっても、卒業研究のテーマにはできないということだ。

 

巨人の肩に乗る

世の中に既に存在している研究を引き継いで、さらに新しい研究を加えることを、「巨人の肩に乗る」という。大学の卒業研究において、巨人の肩に乗る、一番手近な方法は、先輩が書いた卒業研究を見てみることだ。自分が所属している学部・学科、あるいはゼミの先輩が過去に書いた卒業研究のタイトル一覧を見てみよう。ゼミの指導教員に相談すれば、見せてもらえるはずだ。過去に卒業研究として成立しているのであれば、失敗しているにしろ、その批判や反省の上に、自分の研究を足せばよい。成功している卒業研究であれば、なおのこと、自分の研究をそこに足すべきだ。

 

調べ方を調べる

自分が所属している学部・学科、あるいはゼミの先輩が過去に書いた卒業研究のタイトル一覧が手に入らなかった場合や、あるいは、そのタイトル一覧に自分がやりたいテーマに近いものが乗っていなかった場合はどうすれば良いのだろうか。その場合、次にやるべきは、国会図書館のリサーチナビにアクセスし、自分のテーマについて果たして調べ方が存在しているかを調べてみることだ。リサーチナビとは、国会図書館の職員が、調べものに有用な図書館資料やデータベースなどをまとめたものである。検索窓に知りたい事柄に関するキーワードを入力すると、調べ方や関連書籍の情報を返し、また、関連キーワードの広がりを樹形図のように表示してくれる。

ここで「調べ方」の情報が帰ってくるテーマであれば、そのテーマは卒業研究としてやることは問題無い。逆に、「調べ方」の情報が「0件」であるテーマは、卒業研究としてやるには、多大な労苦が伴うものになることは明白である。テーマを再検討・変更すべきである。

 

サーチナビの事例

たとえば、「声優」というテーマでリサーチナビを検索してみよう。すると、「調べ方」の結果は16件だ。これなら、テーマとして設定することはできるだろう。出てきた参考資料を何冊か読み、自分なりの「仮説」を立てるプロセスに進むことができる。

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サーチナビで「声優」を検索した結果

次にたとえば、「金足農業」というテーマでリサーチナビを検索してみよう。すると、「調べ方」の結果は0件である。この場合、金足農業というテーマで卒業研究に挑もうとするのは、無謀だということになる。

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サーチナビで「金足農業」を検索した結果

この場合は、頁下に表示されているテーマの広がりの樹形図を見てみよう。「選抜高等学校野球大会出場校」や「日本の農業に関する学科設置高等学校」などのテーマが見えてくる。これらのキーワードをひとつひとつクリックして、「調べ方」の結果が十分な件数あるテーマを探してみよう。色々とクリックしてみても「調べ方」が十分に出てこないとか、自分が考えていたテーマから離れすぎていてあまり興味が湧かないとかだったら、すっぱり諦めて、改めて別のテーマをリサーチナビに入力してみることだ。

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テーマの広がり

本日のToDo

□所属している学部・学科・ゼミの過去の卒業研究のタイトル一覧を見てみる

□リサーチナビに前回検討した卒業研究のテーマを入力してみる

□世の中に既に存在している研究を引き継いで、さらに新しい研究を加えることが可能なものを自分の卒業研究のテーマにする

 

rnavi.ndl.go.jp

 

卒業論文のテーマを探す

テーマ設定とは何か

卒業論文において「テーマ」という語句は、「題材」「問い」「タイトル」など、いくつかの意味で幅広く用いられている。

もっとも狭いものを指す場合、卒業論文のテーマとは「タイトル」のこととなる。タイトルとして、自分のテーマを固定し、見合った内容のものを書きあげるのが卒業論文の最終的な完成形である。しかし、実情として、タイトルは曖昧なまま「仮題」として書き始め、書き終わった内容に合わせて最後に適切なタイトルを付けるということも行われている。タイトルは決定的ではあるが、狭義であるからと言って卒業論文の核心ではなく、最優先で検討されるべきものでもないのである。

もっとも広いものを指す場合は、卒業論文のテーマとは「題材」、別の言い方をすれば「分野」「ジャンル」「方向性」のこととなる。この題材としてのテーマ設定が最優先となる。ここが確定しなければ、卒業論文の核心である「問い」を適切に持つことができないからである。

したがって、卒業論文におけるテーマ設定とは、分野や方向性を定め、題材を選び出し、研究や調査をした上でその中に疑問や問題を見い出し、自らその問題を解決しようとすることと定義することができる。

 

テーマ設定で重要なこととは

卒業論文のテーマ設定で重要なことは「学術的」であるということだ。

卒業論文は、深く研究・調査して書くという点が、エッセイや感想文とは違う。エッセイや感想文は思ったままを書けば良い。そこでは学術性は問われない。

また、卒業論文は、自分で問題を設定して、その問題を解決するという点が、通常のレポートとは違う。通常のレポートは、先生が問題を出してくれる。学生は答えるだけだ。

問題を設定することを「問いを立てる」という言い方をすることもある。問いを立てるのは難しい。特に、学術的に意味のある問いを立てるのはなかなか至難の業である。

なぜなら、その問いが自明のことでは学術的に意味がないわけであるから、「ここまではすでにわかっていて、その先がわからない」という、ギリギリのところを知っていなければ、学術的に意味のある問いは立てられないからだ。先生が出すレポートが問題として成立しているのは「学生はここまで知識として持っているべきだ」「この講義の単位を出すためにはこのレベルまで理解していなければならない」という、勘所がわかっているからである。

したがって、卒業論文のテーマ設定においては、自分が学術的に意味がある問いを立てられるほど深く研究・調査しても苦にならないものを題材とすることが重要となる。

 

ゼミで協力しあってテーマを見つける

テーマを見つけるために、自分がこれまで大学で勉強してきたことを思い起こしてみよう。授業の中で現在学術的に意味があることについて教わっていなかっただろうか。あるいは、現時点で自分が関心を持っていて、この先、たくさんの本を読んでも苦にならない題材について考えよう。最近、ニュースでとりあげられていることや、社会問題について考えてみても良いだろう。

一人では簡単に行き詰まってしまうかもしれない。そんなときは、ゼミのみんなで協力しあってマインドマップ形式で思い起こしていこう。

順番にホワイトボードにキーワードを書いていく。そしたら、実現可能性などは斟酌せず、キーワードを他の人が書いたキーワードから枝分かれさせて書いていく。交代しながら、ホワイトボードでキーワードで一杯にしよう。

色々なことが思い起こされ、卒業研究のテーマについてのインスピレーションを得ることができるだろう。

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自分用のテーマを検討する

ゼミのみんなから刺激を受けて、頭が柔らかくなり、色々なことが思い起こせるようになったら、自分用のテーマを検討しよう。

紙に書いてもいいのだが、サイズの制限をうけずに細かくたくさん検討したり、書いた者を無くさずにいつでもどこでも追加削除するためには、デジタルの方が都合が良いだろう。

たとえば、mindmeisterは、Web版以外に、iOS版、Android版もあり、3枚までのマインドマップであれば無料で作成・共有できるのでこうした目的に叶うだろう。

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どんどん連想を広げて、キーワードを追記していこう。

ある程度キーワードが出たら、見直そう。抽象的なキーワードの下位レベルとして位置づけられないか、あるいは逆に、具体的なキーワードを更に追加できないか、デジタルで作成している良さを活かしながら、整理統合・発散分割していく。深掘りしたいテーマが見つかったら、必要に応じて、新しいマインドマップを作り直すのも良いだろう。

「これが自分が深く研究・調査したいテーマだ」と確信が持てるようになるまで、繰り返そう。

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今日のToDo

□ゼミのみんなで協力してキーワードを列挙してみる

□デジタルツールを使ってマインドマップを作る

□深く研究・調査したいテーマを確信が持てるまで探す

 

卒業論文の要件を確認する(3)

長期カレンダーを作成する

提出〆切日がわかって、ドラフト完成目標日や途中のマイルストーンを決めたら、それをカレンダーに書いておきたい。その際、一目でわかるように長期のカレンダーに書くようにしたい。

なぜなら、〆切までの残りの日数、今まで過ぎた日数などを直感的に理解できるようにしたいからだ。

たとえば、普通のカレンダーは月ごとに分かれている。スマホやPCのカレンダーも出来合いのものは、1年近くの長期を見渡せるものは、ほとんどない。

となれば、自分で長期カレンダーを作る必要があるだろう。

Googleスプレッドシートで作る。

長期カレンダーをGoogleスプレッドシートで作ることにしたい。

なぜなら、指導教員としてゼミ生全員とスケジュールを共有したいし、常に最新の状態に更新されたスケジュールを確認したいからだ。

Excelファイルでをメールでやりとりしたのでは、いくつものバージョンが並行に存在してしまうだろう。ゼミ生の共通理解も望めない。

以下に、Googleスプレッドシートで作る手順について詳しく述べたい。

作成準備

1.Googleドライブから、Googleスプレッドシートを新規作成

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2.ファイル名を付ける

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3.1行目に月と曜日のタイトルを入力する

B2セルに「月」と入力した後、右下の■をH1セルまでドラッグすると月〜日曜日が自動的に入力される。

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日にちの入力

1.B2セルに今月の第1月曜日の日にちを入力する

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2.B3セルに「=B2+7」と入力する。

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3.確定後、B2・B3セルをドラッグして選択する。

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4.B3セルの右下の■をH3セルまでドラッグすると、2週間分の日にちが自動的に入力される。

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5.B3セルからH3セルをドラッグして選択する。

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6.H3セルの右下の■をH70ぐらいまでドラッグすると、来年度末までの日にちが自動的に入力される。

 

7.B2セルからH70セル(最初から最後の日にちまで)を全て選択する。

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8.「表示形式ー数字ー表示形式の詳細設定ーその他の日付や時刻の形式」を選択する。

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9.カスタムの日付と時刻の形式パネルで、「月」と「日」の間の「-(半角マイナス)」の右側をクリックする。

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10.キーボードの「Backspace」を使って、「日」の形式指定だけを残して、削除する。

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11.日にちの表示を「先行ゼロ付き」にするか「なし」にするかを好みで選び、「適用」を押す。

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12.日にちだけのカレンダーが完成する。

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月の入力

1.A2セルに「=B2」と入力する。

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2.入力確定後、A2セルを選択し、「表示形式ー数字ー表示形式の詳細設定ーその他の日付や時刻の形式」を選択する。

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3.適当な形式を選択すると、カスタム形式欄に表示される。

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4.「先行ゼロなしの月」の形式のみを残す。

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5.適用で確定させる。

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6.A2セルの右下の■をA70(最後の行)までドラッグすると、すべての週の月が自動入力される。

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7.同じ月を結合する。

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表示の整理

1.A列からH列まで全体を選択する。

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2.H列の見出しにカーソルを合わせて現れる▽をクリックし、現れたメニューの中から「列A-Hのサイズを変更」を選択。

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3.現れたメニューで「データに合わせる」の項目を選択して「OK」を押す。

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4.列幅が変更される。

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5.色を付けるなどして、見やすさを整理した上で、提出〆切日やドラフト完成目標日や途中のマイルストーンを記入する。

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ステークホルダーと共有する

最後に、画面右上の「共有」ボタンを押し、作ったスケジュールを関係者と共有する。たとえば、他のゼミ生や指導教員など、一緒に卒業研究を進める仲間と共有しておくと良いだろう。こうした関係者をプロジェクトマネジメントの用語では「ステークホルダー(利害関係者)」という。プライバシーや編集権限は、適宜設定する。

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今日のToDo

□卒業研究用の長期カレンダーを作る。

□長期カレンダーに、提出〆切日、ドラフト完成目標日などを記入する。

ステークホルダーとカレンダーを共有する。